【桜の樹の下には】 梶井基次郎 |
…………あぁ、これはまた……とんだ狂人だことで……
あ、いや、そんな『狂人』というほど狂ってはいない。
桜は綺麗で美しい。
私だってそう思うし、何故そこまで美しくみえるのか、不思議にだって思う。 ・・・・しかし、もしかしたら気づいていないだけで、不安に思っているかもしれない。
この話の主人公が、水溜まりに隙間なく浮かんでいる、薄羽かげろうの死体を見て喜んでいる気持も、或いは分からない事もないかもしれない。
ほんの二、三ページでゾクゾクさせてくれるような文章がかけるんだから、やっぱすごいなぁ・・・とか思った。 |